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IP パケット − はるかなる旅
258 :
よだかの星
:01/12/23 00:39
DNSは実にみにくいパケットです。
アラインメントはそろってないし、パケットサイズはぶざまにばらついていま
す。ほかのパケットは、もう、DNSの顔を見ただけでも、いやになってしまう
という具合でした。HTTPもPOP3もDNSにあうと、さもいやそうに、しんねりと
目をつぶりながらそっぽを向いて悪口をします。
「ヘン、又出てきたね。まあ、あのざまをごらん。あいつは、あんまりみにく
いから仲間もいないのさ。ぼくたちのように何かあっても再送してくれる人も
いないんだよ」
こんな調子です。おお、実はこれらのパケットもDNSがいないと何もできない
のです。DNSがサーバのアドレスを知らせてくれなければ、顔色をかえてぶる
ぶるふるえながら、行き先を見失ってしまうのです。なのに、DNSがUDPである
ことだけで、まっこうからいやなことを言うのです。
かと思うと、NTPなどはDNSが同じUDPの仲間であることをひじょうに気にかけ
て、いやがっていました。
「まだ、おまえはポート番号をかえないのか。ずいぶんおまえも恥知らずだな。
おまえとおれでは、よっぽど違うんだよ。たとえばおれは、ブロードキャスト
もマルチキャストもできる。おまえは、くもってうすぐらい日にこそこそとユ
ニキャストするだけだ。よおく比べてみるがいい」
「NTPさん。それはあんまり無理です。私のポートは私が勝手につけたのでは
ありません。神さまがRFCで決めてくださったのです」
「いいや、おれくらい立派なパケットなら、1023以下を使ってもよいが、おま
えのようなみにくいものは85327くらいでたくさんだ」
「NTPさん。それは2バイトに入りません。無理です」
「いいや、できる。そうしろ。あしたの朝までに/etc/servicesを全部書きか
えておくんだ」
259 :
よだかの星
:01/12/23 00:40
DNSはじっと目をつぶって、考えました。
「一たい僕は、なぜこうみんなにいやがられるのだろう。僕がデータを運ばな
いからだろうか。それだって、僕はみんなの幸いのために、いっしょうけんめ
いIPアドレスを調べてあげたのに。ああつらいつらい。僕はもう、TTLを使い
つくして空の向こうに行ってしまおう」
DNSはにわかに飛びたちました。ルータをひとつ超えふたつ超え、あっという
まにファイアーウォールも超えてはるかに飛んでいきます。DNSは大声をあげ
て泣き出しました。なおもひらりと飛んであっというまにco.jpのネームサー
バの所へ飛んでいきました。
「co.jpドメインのBIND様。どうぞ私を受けいれてください」
「馬鹿を言うな。おまえなんか一体どんなものだい。たかが、toドメインじゃ
ないか。おまえのような者は知らないよ」
DNSはがっかりして、よろよろ落ちてそれから又、四へんルータを巡りました。
「jpドメインのBIND様。どうぞ私を受けいれてください」
「余計なことを考えるものではない。少し頭をひやして来なさい。UGなドメイ
ンなんか知らないよ」
DNSは、どこまでも、どこまでも、まっすぐにルートDNSサーバにむかって飛ん
でいきました。寒さにいきは白く凍りました。つくいきはふいごのようです。
DNSは、なみだぐんだ目をあげてもう一ぺん空を見ました。そうです。これが
DNSの最後でした。最後の瞬間、DNSはルートDNSサーバ様の声を聞いたような
気がしました。
「おお、かわいそうに、こんなになってしまって。私がtoドメインのサーバの
所まで連れていってあげよう」
それからしばらくたって、DNSははっきり、まなこをひらきました。そして、
自分のからだが、燐の火のような青い美しい光につつまれ、キャッシュとなっ
てDNSサーバの中にいるのを見ました。そして、DNSはいつまでもいつまでも
キャッシュとして、他のパケットの道しるべとなりました。その後に続く問合
せは、あのつらく長い旅路をたどることなく、すぐにアドレスを知ることがで
きるようになりました。
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